解説が予備校出版らしい出題傾向の要点ポイントを語る入試を意識したものになっている。問題量も十分
成長著しい東進の意欲を感じる世界史問題集。 問題はMARCHクラスの大学の標準的な問題が中心で、クセのある設問はほとんどない良質なもの。 しかしながら、問題の質量と選別の良さで言えばもっと安いもので山川の問題集など優れたものは多い。
それらを置いてこれがおすすめなポイントは一つ、解説の良さだ。
解説はどのように出題されるかを意識していて、単にわかりやすさを追求する一般的な問題集とは発想が異なっている。 解説からこの問題集を眺めれば、日常学習よりは受験向けの実践的な問題集となっていて、解説を読むうちに自然とどう問題に取り組むのが大事かという視点が備わってくる。
つまり出題の傾向を意識して用語や知識を実践的に使いこなす思考を促す解説になっているのだ。 それが問題の質量では本書に優るものが多いなかで、それでも本書が使いやすい理由だ。 単純に知識定着だけを考えれば、本書の解説は図版も少なくあまり親切なほうではないが、そういうのはむしろ優れた参考書で補える。
問題集としては本書のように実践的な出題意図に穿った解説にしたほうが参考書との相乗効果は高い。 中堅私大クラスならこの問題集よりも安めのもっと標準的な解説の問題集がよいだろう。
この問題集は世界史を強力な得点源にしたい人向けで、とくにMARCH以上の大学を志望する受験生に向く。