民間での講釈版三国志。演義以前の説話段階での三国志物語
『三国志平話』は『三国志演義』以前に民間で流布していた三国志についての講釈を集めてまとめたもの。 内容は『三国志演義』に比べるとかなり荒唐無稽なものがあり、史実を大きく逸脱する内容も多い。
冒頭は中国の民間伝承でよくある生まれ変わり説話で、過去の因縁が新たな歴史を作っているという視点が濃厚に入っている。 本書はその『三国志平話』のいわば絵巻本である『全相三国志平話』を全訳したもので、上段には全相本の絵も印刷されており、演義よりもさらに躍動感とスピード感のある物語を楽しめるようになっている。
登場人物では張飛が愛嬌のあるトリックスター的なキャラクターを発揮して陰日向に物語を盛り上げるのが面白い。
ちなみに孫呉ファンの人は演義以上に孫呉のキャラクターは目立たないので、そこは残念に思うかも知れない。